ゆゆ式BDを持って星を見に行った話 | ゆゆ式Advent Calendar 2019 20日目

これはゆゆ式 Advent Calendar 2019 20日目の記事です。主な内容は旅の内容になります。ゆゆ式成分薄いかもなのでご承知ください。

 

 

 

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都市に住んでいていると、夜空いっぱいに浮かぶ星々というのは実際に見たことがなければファンタジーのような話だ。アメリカでは80%の人が天の川を見たことがないという。この数字は都市に住んでいる人口の割合と合致する。1994年、ノースブリッジ地震によって発生した停電の最中、人生で初めて天の川を見て驚いたロサンゼルスの住人からの通報が殺到したという話もある(真相は定かではない)。

私自身も天の川をこの目で見たことがない。あるいは見たことを忘れている。どちらにせよ記憶がないのだからいつかは見てみたいと思っていた。

なぜこの記事がゆゆ式と関係あるかというと、この星を見に行く旅にゆゆ式BD-BoxとOVA(以下、ゆゆ式BD)を持っていったからだ。8月に初めての一眼レフを購入したのだが、周りの目を過剰に気にしてしまう性格のせいで外に持ち出さずしょうもない写真ばかり取る日々は虚しく、まわりに誰もいない場所で思い切り写真が取れたら、と考えていた。ついでにゆゆ式の円盤を持っていって星と一緒に写真を撮ったり。ゆゆ式に少しでもかすっていれば参加していいルールなのでこれで十分でしょう。

ならそうすればいいじゃないか。免許を取って同じ車を運転し続けて1年、普段は通学に使ってるだけだけどいけるいける。そう思って初めは一人で行こうとしたが、星の写真を撮るとなれば人里離れたロケーションを選ぶのは必然的で、そんな場所で車が壊れたり怪我したらどうするんだと、これはさすがに止められた。伯父さんと一緒に行くことになった。

ロケーションだが、光害地図を眺め始めて、アメリカ西部に住んでいてよかったと思った。光害を逃れるのは簡単そうだ。

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Credit: darksitefinder.com

最有力候補はGila National Forest。自分の住んでいるフェニックスから割と近くて、天の川が見える南方向に都市が無い。Cosmic Campgroundという名前からして夜空を見るのに適してそうな無料キャンプ場すらある。しかしこの案はやんわり却下されてしまった。目的地は伯父さんが経験のあるCoconino National Forest、日付は新月と重なる週末に合わせ9月27~29日の二泊三日に決まった。

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Credit: darksitefinder.com, Paomedia

 

1日目

ロケーションを審査するために車からおりたとたん、重大な問題に気づいた。他の車が巻き上げた砂埃だと思っていた煙幕が、実は霧だったのだ。視界15~20mといったところか。考えてみればここは高い崖の上。標高が高く夜は冷える。こういう立地を選ぶのは間違いだった。南方向の木の少なさで最終的な地点は決めたが、霧が晴れたとしても阻まれた視界の先に背の高い木があって星空を遮っているかもしれない。

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マジでこんな濃さ

さらなる問題が寒さ。10℃以下いっていたかもしれない。この日フェニックスの気温は30℃くらいだった。気温が低くなることは予想していたが、砂漠の熱に適応した体にこの気温差は厳しい。伯父さんが余分に持ってきたジャケットを貸してくれた。自分の持ってきた、この山の寒さを舐め腐ったジャケットだけではこの寒さに耐えられなかっただろう。

エルクの鳴き声を片耳に上を見上げて数時間。時々霧の隙間から星が顔を覗かせることはあったが、写真を撮るには時間が短すぎる。せめてなにか撮ろうと夜の森へカメラを向けてみたら、枯れ木がお化けみたいになった。この霧は晴れない。寝よう。

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とでも思っていたのか?

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唯ちゃんありがとう。

ふと目を覚ますと、なんと霧が晴れていた。唯ちゃんのツッコミに感謝。さっきまで隠されていた星がはっきり煌々と輝いている。このチャンスを逃すまいと車から飛び出て、すぐさま撮影を開始した。空を見上げながら笑い声が漏れた。だってこんなに綺麗なんだもん。

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タイムラプスにも挑戦してみたけど、撮影開始したとたん霧に包まれてしまった。それでももしかしたらまた晴れるかも、と薄い望みを持って放置しておいたが、晴れなかった。

 1日目はこんなところだろう。(……あれ、ゆゆ式は?)

 

2日目・移動

タイムラプスのために外に放置しておいたカメラが露でびしょ濡れになっていた。買ったばかりのカメラなのにとあたふたしたが、しっかり水を拭き取って乾かしたら大丈夫だった。ゆゆ式BDを車の外に出さないのは正解だった。昨晩と同じく辺りは霧に包まれたままだった。

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視界の悪さには十分苦しめられた、ということで2日目は森林内の景色を楽しみながら場所を移動することに。当たり前だけど山道ではオフロードの車やATVとよくすれ違った。途中で別の親戚も合流することになって、昼過ぎに合流した。お気に入りはMormon Lake。湖の上を雲の影が滑っていく感じが良かった。

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AR15とかも撃たせてもらって楽しかった。

 

2日目・夜

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牧場の牛を表現する言葉とは少し違う。

昨日のような失敗はしない。ということで2日目に選んだのは平原の真ん中。昨日より暖かく霧が発生しそうな気配はない。全方位障害物はなく星を邪魔できるのは雲だけである。

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霧ほどクリティカルではないが今日も問題が生じている。風が強いので三脚が簡単に倒されてしまうのだ。袋に石を入れて三脚から吊り下げることで対処したが、そうしても抑えられない小さな振動で写真がぶれてしまう。持ってきたゆゆ式BDなど簡単に飛ばされてしまうだろう。どうやらここは放牧場らしく地面に大量の牛糞を見つけることができるので、そんなふうにゆゆ式BDを汚すことはできない。諦めるしかないのか……

日が沈み、カメラの設定を確認しながらだんだん暗くなっていく空を見上げている時、この旅最大の衝撃的事実を発見した。空が完全に暗くなっていないのに天の川が見え始めている。そんな、まだ本格的に夜じゃないのに銀河の大スペクタクルを見せつけてくれちゃっていいの?という感じで、なぜかこれだけが格別に衝撃が大きかった。

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今日もタイムラプスに挑戦してみた。風による振動でカメラが安定せず、RAWデータが暗すぎるためポストプロセッシングで露出を上げるほかなかったせいでノイズが出てしまうなどで綺麗な結果にはならなかった。

2日目の写真

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2日目は満足。360度満天の星を堪能して、写真もたくさん撮れた。ゆゆ式BDの写真を撮るのは諦めてしまったけど、また来ればいいさ。

 

3日目

今日は帰るだけ。ただし旅にトラブルはつきもの。舗装された道に出た瞬間、親戚の車の右前タイヤがパンクした。幸いなことに車に詳しい人が二人いて、親戚の車はスペアタイヤを搭載していたのですぐ帰路に戻る事ができた。

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スペアタイヤとはいえ幅が細くてサイズも小さいやつだったので、途中で新しいタイヤを買うか、そのままフェニックスまで約140マイル走るべきか意見が分かれた。初めは最寄りの街に寄って新しいタイヤを買う派が優勢だった。タイヤを探しにCamp VerdeやCottonwood辺りでうろうろしていると、エアコンが動かないので早く帰って直してくれと母から電話があり、早急に帰ることになった。夏のフェニックスは冷房がなければ居住不能な都市なのだ。以前、故障のためエアコン無しで40℃超の中数日過ごしたことがある身から言っている。家に帰るとすぐに問題を特定し対処した。

 

まとめ

星空は堪能したけど、結局最後までゆゆ式BDが荷物の中から出ることは一度としてなかった。星空を背景にゆゆ式BDの写真を撮るという課題を達成できなかった。しかし思い返してみればこれで良かったとんだと思う。水や土や牛のフンでパッケージを汚すことはなかったし、いい写真を撮るためのカメラや構図の知識は殆どない。もし今回の行き先が最高のコンディションだったとして満足行く写真が撮れただろうか。

では、この旅にゆゆ式BDを持ってく意味とは何だったんだろうか。ゆゆ式がなければこの旅に行くことも考えなかっただろう。ましてやAdvent Calendarに参加するなんてことも。星を見に行くというのもBucket listの中に永遠に残っていたかもしれない。ノーイベント・グッドライフはゆゆ式のキーワードだが、ゆゆ式の3人のように心を深く通わせられる友達のいない私には、イベントが必要なのだ。

この旅におけるゆゆ式の役割とは、私がやりたかったことを実行に移させてくれたことと、ゆゆ式と私の決定的な違いを私に再認識をさせることだった。

ゆゆ式 好き。

 

 

というわけで、ゆゆ式BDを持って星を見に行った話でした。恋する小惑星のアニメ放送開始が控えているのでいいタイミングだったと思います。この旅の未練はいつか必ず、別の旅で果たします。あにばーさるのグッズは海外に発送してくれないので業者を介して予約しました。2020年1月に届くといいなと思います。次の旅ではそのグッズも持っていってゆゆ式色を高めていきたい。

読んでくださって、ありがとうございました。